判例紹介
平成19年11月30日判決未公開株商法が詐欺商法と推認されると判断された事例
[カテゴリ:未公開株商法]
- 概要
【裁判所】東京地方裁判所
【判決日】平成19年11月30日
【業者名】日興グランダム
【被害額】約2200万円
【過失相殺】なし旧証券取引法上の登録を受けていない業者が,「上場されない会社はごくわずか。」「上場されれば,最低でも購入価格の倍以上になる。」「1年後に確実に当たる宝くじを買うようなものだ。」などと述べて,未公開株を勧誘した事案である。
業者が勧誘した銘柄のほとんどは上場されることがなく,また,実際に上場された1銘柄も,上場初値は,被害者が購入した価格の約6分の1であった。
被害者である原告は,業者が証券業登録を受けずに,グリーンシート銘柄でもない未公開株を業として販売した行為自体がそもそも違法である上,未公開株が近日中に上場予定であると誤信させて,正常な価格に比して著しく高値で売りつけたものであって,これを組織的に行った代表者らは,旧商法266条の3に基づく責任があるとして代表者ら個人に対して責任追及を行った。
- 判旨と解説
判決は,まず,無登録で証券業を行うことが罰則(3年以下の懲役若しくは300万円以下の懲役又は併科)をもって禁じられていること,登録業者であっても証券業協会の規則によりグリーンシート銘柄以外の投資勧誘が禁止されていることから,わが国の証券取引制度においては,経営状態に関する適切な情報開示のない会社の株式は,証券取引業の対象とすべきでないものとされている,と述べる。
その上で,本件の未公開株の勧誘は,その販売価格が正当なものであったことを業者が積極的に立証しない限り,その販売価格は,そもそも正当な価格を大きく上回るものであって,これを顧客が正当な価格と誤信させることを前提とした詐欺的商法によるものであったと推認される,と判断している。
そして,被告らが提出した証拠では,本件未公開株の正当な価格は立証されていないとして,原告の請求を認めた。
(参考)
グリーンシートとは,非上場企業の株式等を売買できるよう,日本証券業協会が平成9年7月から行っている制度である。証券会社が,「店頭取扱有価証券」の要件を満たしている未公開銘柄のうち、日本証券業協会に対して届出を行ったものが,グリーンシート銘柄に指定される。ただし,証券会社は,その銘柄について継続的に売り気配・買い気配を提示しなければならない。
証券業協会の規則では,グリーンシート銘柄に指定されていない未公開株を一般投資家に対して販売することが禁じられている。
なお,「グリーンシート」という呼び名は,アメリカ合衆国のピンクシートにならって,若い樹木が若葉を次々と芽吹きながら大きく成長していくように,ベンチャー企業が若々しく生き生きと活動・成長していくようにとの願いを込めて付けられたものである。



