判例紹介
平成19年4月12日判決商品先物取引における損害賠償請求において過失相殺が否定された事例
[カテゴリ:国内先物取引]
- 概要
【裁判所】札幌地方裁判所
【業者名】サンワード貿易
【被害額】約1,700万円
【過失相殺】なし被害者は58歳の男性。
大卒後、約35年信用金庫に勤務し、その後ホテルに勤務していた方である。被害者は、土地建物のほか、預貯金約2,000万円を保有し、当時の年収も500万円あった。ガソリン、灯油の取引により6か月間の取引により約1,700万円の損失を被ったという事案である。
- 判旨と解説
適合性原則と説明義務が業者側の注意義務の中心となることを認めた上で、適合性審査についても、単に資産、学歴、職歴、職種といった抽象的なものでは不十分であり、先物取引という危険性の高い取引のために投資するに相応しい余裕資金か、その金額も全体の資産との関係でバランスがあるか、先物取引を自分で行う判断能力があるか、その前提となる理解力はどの程度進んでいるかを具体的に審査すべきであるとした。
また、説明義務についても、抽象的な先物取引の危険性を説明するだけでは不十分であり、具体的取引ごとに具体的危険性を指摘する義務があるとした。
過失相殺については、業者が過失相殺を主張することは、自己の専門家としての義務違反をかえって自己に有利に援用することにほかならないから、業者は信義則上、過失相殺の主張をなしえないとした。



